冊子の基礎知識(その9:本文のレイアウト(DTP組版))

無線綴じ製本の場合

もくじ


 

3.本文について

①本文のレイアウト(DTP組版)
  • DTP組版について

DTP(デスクトップパブリッシング)とは、マッキントッシュやウィンドウズのパソコンを使って印刷の前工程であるプリプレス作業をすることを言います。文字や画像をパソコン上で組み合わせて、印刷用の版の元となるデータや版そのもの、またはそのまま印刷物まで作ります。デザインやレイアウト作業、文字組版作業を同時進行で行うことができます。

文字組版は、明治以来活字を組み合わせて作る活版が主流でした。続いてタイプライターや、モリサワと写研による写植機を使った組版がとって代わります。しかしこれらはいずれもアナログの組版で、熟練した職人による専門業者の手作業で行われました。

日本では、1980年代に日本語ワープロが出現し、続いてプロ用の文字組版編集用システムとして電算写植や電子組版機などができました。そして汎用のマッキントッシュが1990年代に出現すると、搭載するアプリケーションの充実とともに一気に置き換わってしまいました。

文字組版の際に必要とされる「組版ルール」は日本語の場合特に複雑で、出版社によっては独自の組版ルールを設定している場合もあり、アナログの時代には熟練工の技術と知識が重要視されていました。美しさと読みやすさを追求した日本語書籍の精髄ともいえます。そのノウハウがデジタル汎用機では、PCの性能とアプリケーションの進化によって完全に自動化されるようになり、それほどの専門知識がなくても文字組版を行うことができるようになりました。

ここで組版技術は、完全にアナログからデジタルに移行し、さらに大きなことは専門業者が独占していた文字組版が、マッキントッシュやウィンドウズの汎用機械で行えるようになったことです。

使用するアプリケーションソフトは、アドビ社の「InDesign」、「Illustrator」、「Photoshop」などが用いられます。「InDesign」は、書籍やカタログなどの頁物に使用されます。「Illustrator」は、ポスターやチラシなどの端物の作成に向いています。イラストやロゴ作成などデザイン重視の制作に使用されます。「Photoshop」は、画像の加工・編集に使用されます。画像合成や色調整など画像に関するさまざまな作業が行えます。

そのほか、入稿データとしてはワープロソフトのWordや表計算ソフトのExcelなども使用されます。

これらDTPで作成された組版データは、印刷用PDFに変換され、使用する印刷機に応じた刷版(印刷用のPS版)のサイズに合わせて面付されます。

 

  • 本文のレイアウトについて
    本文のレイアウトは、本の内容によって本のサイズ、フォント、縦書き・横書き、ノンブル、柱、背文字、その他多くの文字組の約束事やノウハウがあります。組版にあたっては、まずは冊子の大きさとページ内の文字数を決めて文字の組み方(レイアウト)を決める必要があります。次の表は、本のサイズごとの標準的な1ページ内の文字詰を一覧にしています。

  •  

・冊子の標準的な版型と文字数
版型 サイズ 文字数
縦書B5 182mm×257mm

55字×19行=1045字

30字×25行×2段=1500字

縦書A5 148mm×210mm

46字×16行=736字

25字×19行×2段=950字

縦書四六 127mm×188mm

43字×15行=645字

44字×17行=748字

縦書B6 128mm×182mm

41字×14行=574字

43字×17行=731字

縦書新書 103mm×182mm

39字×13行=507字

42字×16行=672字

縦書A6 105mm×148mm

38字×12行=456字

39字×13行=507字

横書B5 182mm×257mm

42字×31行=1302字

21字×39行×2段=1638字

横書A5 148mm×210mm

34字×27行=918字

36字×28行=1008字

横書B6 128mm×182mm

29字×23行=667字

31字×24行=744字

■文字組の方法はこれ以外にも様々あります。実際の組見本でお確かめください。

*弊社では、追加サービス(有料)としてDTP組版も承ります。ワード等での標準的な組版テンプレートもこのサイトでご用意しておりますのでご利用ください。また、手書き原稿でも追加サービスとして承りますのでご相談ください。

 

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