自費出版の基礎知識(2023年度版)その3/自費出版本を販売するにはどんなルートがあるか
自費出版の基礎知識(2023年度版) <もくじ>
Ⅲ.自費出版のおすすめ/ハーベスト出版の場合
Ⅳ.よくある問合せ(FAQ)
- 制作費用はいくらかかるの?
- ほんの少しの部数でいいんだけど?
- 自分でwordで組版しましたが?
- 制作期間は?データはどんな形式で入稿すればいいの?
- 自費出版物を書店で販売したい?
- どんなジャンルの本が得意?
- 電子ブックをつくりたい
- 電子書籍をつくりたい
Ⅱ.自費出版の本を販売する
2.自費出版本を販売するにはどんなルートがあるか
本を書店またはネット書店で販売するための流通ルートで主なものは以下の通りです。取引を始めるには口座の開設が必要になります。
①大手取次ルート
- 日本出版販売(日版)
- トーハン
- 楽天ブックスネットワーク
業界団体である日本出版取次協会の加盟社数は20社弱ですが、日版とトーハンで70%以上を占めているといわれています。ただし発行部数の少ない個人が口座を開くのは難しいでしょう。
②特定分野の取次ルート
- 地方小出版流通センター
- 日教販
- 西村書店
- 全国官報販売協同組合
- 東京官署普及
日本出版取次協会の加盟社のなかでも、大手以外に特定分野の出版物を扱う取次がたくさんあります。地方小出版流通センターは、大手取次が扱わない地方出版社・小出版社の書籍の流通を扱っています。
ただし発行部数の少ない個人が口座を開くのは難しいでしょう。
③地方のエリア限定の取次ルート
- 教科図書販売会社
各県の教科書を取り扱う書店が取次業務を行っています。県ごとにテリトリーが分かれています。
④ネット書店ルート
- Amazon
- 楽天ブックス
- セブンネットショッピング
- honto
- e-hon
- 紀伊国屋書店ウェブストア
とくに手続きしなくても、前述の大手取次または特定分野の取次との取引があれば、そこから書籍が供給されますが、ネット書店に掲載されるのには時間がかかります。
出版社または個人がネット書店と直接販売する方法として、例えばAmazonには「e託販売」と「マーケットプレイス」があります。商品登録を出品者側が行うので比較的早く流通ルートにのせることができます。出版社で代行して手続きをしてくれる場合もあります。
<Amazon e託販売サービス>
- おもに出版社やメーカーを対象とした委託販売サービスで、e託販売サービスの登録が必要。商品の梱包、発送、決済、返品対応はAmazonが代行します。商品の掛け率(正味)は60%。その他、Amazon倉庫への商品発送料金、年会費9,000円が必要になります。ある程度のアイテム数があり、継続的に販売する業種に向いています。
<Amazon マーケットプレイス>
- Amazonの商品ページをみると「出荷元」と「販売元」があります。マーケットプレイス出品の場合は「販売元」は出品者となっています。「出荷元」はAmazonが配送する場合と出品者が発送する場合とがあります。「出荷元」がAmazonの場合は、商品の在庫はAmazonの倉庫にあり、注文が入るとAmazonが配送を行うタイプです。「出荷元」が出品者の場合は、商品在庫はAmazonには無く出品者が発送します。
- 出品プランには大口出品と小口出品とがあり、大口出品では月額4,900円の固定費用がかかりますが、小口出品ではかかりません。小口出品では購入された商品ごとに100円の手数料と商品の種類によって8~15%の販売手数料、商品の発送料が出品者の負担となります。
⑤個別書店での販売
出版社または個人が書店と直接交渉して店頭に並べてもらう方法です。書店側が店頭に並べる価値ありと判断した場合には承諾していただけます。
個別に卸の条件(定価の何掛けで書店に渡すのか;正味)、支払いの条件(納入した書籍の代金はいつどういう計算方法で支払うか)、納品・返品のやり方(例えば、書店からは電話・メールで注文し著者は書籍を宅配便で届け送料は著者もち。返品は書店から宅配便で行い送料は書店もちなど。)を決めなければなりません。最近では、全国の個性的な書店主によるユニークな個人書店が増えています。取次を通さず、出版社や著者本人との直接仕入れによって書籍の選別や品ぞろえを決めるケースも多くあります。書籍以外の商品を並べたり、イベントを企画して「場」づくりに力を入れる場合もあります。
著者自身が、この方法で多くの書店で販売しようと思うと相当な手間がかかることを覚悟したほうがいいでしょう。書店との交渉、本の宣伝、注文、配本、返品、集金など負担は大きいです。