冊子の基礎知識(その26:中綴じ製本/中綴じ製本の特徴とメリット)

中綴じ製本の場合

もくじ


 

中綴じ製本の特徴とメリット

冊子でよく使われる製本の方法は、「無線綴じ」、「中綴じ」、「上製本」です。このうち、「中綴じ」製本のいいところについてお伝えします。

 

1. ページデザインが自由

中綴じ製本は、二つ折りにしたものを内側または外側で重ねて中央をホチキスで綴じる製本方法です。そのため、開いたページは冊子の「ノド」の部分までいっぱいに開くことができます。(図1参照)

無線綴じは「背」の部分を糊または糸で綴じてから表紙を巻くことになります。「ノド」の部分はいっぱいには開かないので、読みやすくするためには1.5㎝~2.5㎝ぐらいの空きを作る必要があります。印刷できる領域「版面」のサイズを考慮するデザイン上の制約があるわけです。

これに対して中綴じ製本では図表や写真など、2ページにまたがっている場合には左右のページいっぱいに表示することができます。このため必ずしも「ノド」に空きをつくる必要はありません。ただし、ページに図表や写真ではなく文章が来る場合には、版面を考慮してノドや小口に一定のアキを作ります。

 

2. 製本には2種類ある

中綴じ製本は、製本機械の方式によって2種類の方法があります。一つは従来型の方法で、1万部以上の大ロット製本に向いています。例えばA4判の冊子を作る場合に、A1の全紙用紙にA4判は8ページ付けることができます。両面では16ページです。印刷した全紙用紙を折り機で8つ折りにします。この16ページの折り丁を開いて製本機の鞍型の部分に順番に重ねて(中入れ掛け)中央2か所を針金(ホチキス)または糸で綴じて製本します。48ページの冊子なら折り丁が3丁です。この後、三方を化粧裁ちして出来上がりです。(図2参照)

冊子のページ数によって16ページの折り丁なら16の倍数のページ数、16、32、48、64ページである必要があります。もし40ページの冊子なら16ページが2丁と8ページの折り丁を1丁作る必要があります。

二つ目は、比較的最近に行われるようになった方法で、1万部以下から小ロットまでの製本ではスタンダードな方法になっています。例えばA4の冊子を作る場合に、印刷した用紙を表裏4ページの状態のA3のサイズに断裁します。これを折る前に丁合機でページの順番に丁合します。例えば40ページの冊子なら10枚を丁合します。これをそのまま中央2か所を針金(ホチキス)で綴じ、中央で全体を二つ折りします。この後、小口を化粧裁ちして出来上がりです。この中綴じ機では丁合から小口化粧裁ちまでライン上で行います。

冊子のページ数は4の倍数である必要があります。8、12、16、20、24と、大体64ページぐらいが限界です。2の倍数の10ページや14ページはできません。

 

3. 中綴じ製本の用途

簡易な製本方法として書籍以外のほとんどの印刷物に使われています。ただし制限もあります。ページ数があまり多いものはできません。週刊誌、月間誌などは特殊な機械を使用して100ページを超えるものもありますが、通常48ページ以内の冊子が一般的でしょう。

よく使われる印刷物のジャンル(例)は次の通りです。(図3参照)

会社案内・パンフレット・カタログ・広報誌・教材・マニュアル・台本・大会冊子など。

 

(用語)

ノド:冊子を見開きにした状態で中央の閉じ側の部分。

小口:冊子を製本した際の断裁面のこと。冊子を見開きにしたときの両端にあたる紙端の部分。

版面(はんづら):冊子などの紙面で、本文など内容部分が印刷される範囲のこと。

丁合(ちょうあい):製本のさい,シート紙や折り丁をページ順に揃え1冊にまとめる作業。

折り丁:製本するために刷り本を折ったもので、製本上の1単位。

化粧裁ち:本の中身またはその他の印刷物を仕上げ寸法に合わせて断裁すること。仕上げ裁ちともいう。