印刷の話(その1:過去と未来)

印刷技術は15世紀のルネッサンスの3大発明の一つといわれています。羅針盤、火薬、そして印刷術の3つです。それほどのちの社会に大きな影響を与えました。

イギリスの「ライフ」という雑誌が、21世紀を前にして「過去1000年間で人類にもっとも影響を与えた発明は?」というテーマで特集をしました。ここで1位がグーテンベルグの活版印刷術、2位がコロンブスのアメリカ大陸到達、3位がマルチン・ルターの宗教改革でした。

この順位には多分に白人社会の関心の高い低いが関係しているかもしれませんが、印刷技術はそれ以来、数百年間にわたって社会に貢献しているわけです。しかし、現在では情報の伝達手段という意味ではインターネットの出現によって大きく重要度が変化してきています。

情報革命は歴史上4回あったといわれています。①言葉の発明、②文字の発明、③活版印刷の発明、④インターネットの発明です。

日本の印刷出荷額は、1991年のピークでほぼ9兆円あったのが昨年は5兆円弱に減少しています。10年前の数字と比べてみても、売上高が22%減少、事業所数が35%減少しました。事業所数の減り方が大きいので、一社あたりの売上高は増えています。(工業統計2020年:出荷額4,827,053百万円、4人以上の事業所数9,636)

インキを紙に転写するという従来の印刷技術はなくなることはないでしょうが、今後も少なくなることは確実です。コピーのようなトナー方式のプリンタ、そしてインクジェット方式のプリンタは印刷にひけをとらない品質が可能になりました。大型のオフセット印刷や新聞用の輪転機も現れています。

紙が発明されてから2000年、活版印刷から550年。情報の長期保存や可読性という意味では紙と印刷は優れています。これからも紙と印刷はなくなるわけではなくて、デジタル技術と共存していくことになるといわれています。

*次回は、「その2/カラー印刷は4色