印刷の話(その10:書体とフォントの違い)

 書体とフォントの違い

ほとんど同じ意味のように使われていますが、「書体」と「フォント」はどう違うのでしょうか。日本エディタースクールの書籍とモリサワのホームページからご紹介します。

『原稿編集ルールブック~原稿を整理するポイント』(発行:2005年3月11日、編集:日本エディタースクール、発行者:日本エディタースクール出版部)にはこのように書いてあります。

書体とフォントは似た用語であり混用されている。書体は、印字、画面表示のために、統一的な意図により作成された一組の文字や記号のデザインのことであり、フォントは、ある書体により作成された字形の集合である。しかし、ある見出しにあるフォントを使用する。またはある書体を使用するといった場合、ある特定の字形の集合(フォント)を使うことは、ある特定のデザイン(書体)された文字を使うことであり、意味内容はほぼ同じである。

また、『モリサワ』のホームページ「モリサワフォント用語集」(https://www.morisawa.co.jp/culture/dictionary/)では以下のように説明してあります。

「書体」とは、共通した表情をもつ文字の集まりのことです。

「リュウミン」「新ゴ」など、共通のコンセプトによってつくられたものをさし、それぞれ「明朝体」「ゴシック体」のように大きく分類することができます。 「フォント」は、現在ではデジタル化した書体のことを指します。

もともとは、同じサイズ、同じデザインのひと揃いの欧文活字を指していた言葉で、書体情報がデジタル化されるようになってからは、組版に利用できる共通のデザインのひと揃いの文字の集まりのことを「フォント」と呼ぶことが多くなりました。

う~ん、よくわかりませんね。どちらもほぼ同じ意味でいいということでしょうか。

例えば、「明朝体」とか「ゴシック体」とか、共通したデザインの文字の種類を「書体」。書体が明朝体でも「細明朝体」、「中明朝体」、ゴシック体でも「中ゴシック体」、「太ゴシック体」などのようにデザインが同じでも文字の太さが違えば「フォント」といいますね。

活字の時代には、「書体」が同じでもサイズが異なれば別々の「フォント」でしたが、デジタル文字の場合はサイズの違いはフォントの違いではなく、文字の太さなどが変わる場合には「フォント」というのでしょう。

 

⇒次回は、「その11/ノンブルと柱について