古紙の話(その1:回収率)

古紙の話(その1:回収率)

古紙とは一度使われた紙のことをいいますが、私ども印刷業から出る古紙には印刷済みのインクの付いた古紙と、印刷してない部分を断ち落とした古紙とがあります。これらの古紙は、回収業者によって定期的に回収されて再使用されます。

古紙を再生するためには、印刷した古紙の場合には脱墨というインキを取り除く工程や、金属などを取り除く工程が必要になってきます。また、パルプの繊維が短くなるので強度が落ちてきます。コート紙など、表面に薬品が塗布してあるものもあまりよくありません。

古紙で作った用紙は安いと思われがちですが、このような余計な手間がかかるため、多くはバージンパルプの用紙よりも高いものになってしまいます。

世界の古紙の回収率は、2019年の統計によると、日本が77%、韓国85%、中国53%、アメリカ66%、ドイツで79%、イギリス91%となっています。韓国と、イギリスなどヨーロッパの国々の回収率の高さが目立ちます。

古紙は、印刷用紙や段ボールや包装資材などの板紙に再生されますが、消費量は中国が圧倒的に多く、日本の4.2倍もあります。

古紙の相場は、日本の高度成長期には高騰してちり紙交換という職業が増えました。その後低迷しましたが、中国での経済成長に伴って価格が高騰しました。中国の需要に左右される傾向となっています。

以前は、回収した古紙を国内で消費することがほとんどでしたが、最近では輸出が増えており、古紙の相場は景気と密接に関係しています。

何年か前に、大手メーカーが古紙の含有率をごまかしているということがありました。含有率は見た目ではほとんどわかりません。古紙の含有率が高い紙をつくるということは技術的に難しく、強度の問題、白色度の問題をクリアしなければなりません。通常は含有率70%以下のものが多く、古紙100%の用紙は王子製紙しか作っておりません。

いずれにしても、紙は二度三度と再生して使われる率が非常に高い材料です。日本の製紙会社は、原生林を伐採するのではなく、消費するパルプは世界中で植林によって確保していると宣伝しています。

⇒次回は、「その2・再生技術