印刷の話(その15:RGBとCMYKの違い②)
RGBとCMYKの違い
RGBとCMYKは、どちらも色を表現するためのそれぞれ異なるしくみです。例えばWebで色を表現する場合はRGBを、印刷物として表現する場合はCMYKを使います。
表現できる色の領域に違いがある
RGBとCMYKでは表現できる色の領域が微妙に異なります。RGBは鮮やかな蛍光色や明るい色が再現しやすいです。RGBで制作したものを印刷すると、色が多少くすんで見えたりします。
CMYKは、印刷では黒(K)が使われるので、深い影や細部を表現するのに適しています。一方で明るい色や蛍光色が再現しきれないことがあります。
RGBは光の三原色
RGBは光の三原色と呼ばれる、赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)の光を組み合わせて様々な色を作り出します。
主にデジタルディスプレイや電子デバイスで使用されます。RGBの光を均等に混ぜると白になります(加法混色)。
CMYKはインキの三原色
CMYKは色の吸収方式で、シアン(Cyan)、マゼンタ(Magenta)、イエロー(Yellow)、ブラック(Key)の4つの色(インキ)で構成されます。
CMYKを印刷物の三原色と呼びます。これを混ぜ合わせて色を作り出しますが、CMYのインキを均等に混ぜると黒になります(減法混色)。ただ実際には真っ黒ではなく濁った色になるために、黒インキを使います。CMYKの「K」は黒色を意味しています。「K」インキを使うからこそ、印刷物において黒色を表現でき、画像の輪郭や文字を上手く表現できているのです。
画像処理のソフトでは切り替えて使う
PhotoshopやIllustratorでは、「ドキュメントのカラーモードを選択」によってRGBとCMYKを切り替えることができます。画像をWebで使用するか印刷物で使用するかによって色を表現するしくみが変わります。
数値で色を表現する
RGBの色はそれぞれ0~255のRGB値で表わされますが(例:255.0.0)、Web上では16進カラーコードに置き換えて表現します(例:#FF0000)。
CMYKはそれぞれの値について0~100%の数値を指定して色を表現します。(例:C0・M80・Y60・K0)
色見本について
CMYKの4色をプロセスカラーといいますが、DIC(ディック)やPANTONE(パントン)などの色見本からカラー番号を指定できます。日本ではDICの色見本がよく使われます。DIC258などと指定します。
用紙によって色味が変わる
注意しなければいけないのは、同じインキを使用してもコート紙や上質紙などの用紙の種類によって印刷後の色のイメージが大きく違ってきます。紙にはインキの吸収度合い、紙自体の色合いがそれぞれ違うからです。
なぜCMYKの黒をK(key)で表わすのか
CMYKの「K」はブラックを表しますが、なぜ「K」 が使われているかにはいくつかの理由があります。
- Bが既に使用されている
RGBカラーモデル(Red、Green、Blue)では、Bは既にブルーを表すのに使用されています。そのため、混同を避けるために新しい記号が必要でした。「B」以外で一般的に誤解されない文字を選ぶ必要がありました。
- ブラックの語源(英語)
「K」は 「Key」 の略で、印刷業界で黒がキーとして使われることからきています。これは、印刷プロセスにおいて、キー(黒)が他の色と重ねられて合成されることから来ています。また、黒が主要な色であることから 「Key」 という用語が使われました。
- 経済性
黒は他の3つの色を混ぜて作り出すこともできますが、印刷プロセスにおいて、黒を独自のインクとして使うことが効率的で経済的であるため、専用のブラックインク「K」が使用されます。これにより、色の再現が向上し、印刷プロセスが効率的になります。これらの理由から、ブラックは「K」で表されます。