印刷の話(その14:禁則ルールについて)
禁則ルールについて
日本語の組版で、基本的で重要なルールの一つが禁則ルールです。「行頭」や「行末」においてはいけない記号や文字。「分割・分離」してはいけない数字や文字や記号があります。これらの文字・記号・数字を正しく配置して組版することを「禁則処理」と言っています。
ワープロソフトなどで組版されたテキストは、デフォルトの設定で一般的な禁則処理がされています。活字や写植などアナログで組版する場合には、この禁則ルールを熟知していないと組版することができません。昔の組版職人は、美しくページアップするためのノウハウとして必須の知識でした。
行頭においてはいけない文字
「行頭」の禁則処理は、“この文字は行の初めにおいてはいけない”というルールです。
例えば、「。」「、」などの文章の区切りを表す役物記号、「」」「】」「≫」などの閉じかっこ類、疑問符「?」、感嘆符「!」、「っ」「ゃ」「ゅ」「ィ」「ェ」などの拗促音などが該当します。
これらの文字・記号が行頭に来る場合には、行の文字間隔を調整して行頭を回避します。
行末においてはいけない文字
「行末」の禁則処理は、“この文字は行末においてはいけない”というルールです。
例えば、「「」「【」「≪」などの起こしかっこ類などが該当します。
これらの記号が行末に来る場合には行の文字間隔を調整して行末を回避します。
分割してはいけない文字
「分割・分離」の禁則処理は、改行によって分割・分離してはいけない文字のルールです。
例えば、三点リーダー「・・・」、組み合わせ数字「03」、連数字「1,000万」、小数「3.14」、単位記号「kg」「cm」「%」など。
多少の独自ルールもある
禁則ルールは、DTPソフトでの組版は自動で処理を行ってくれますが、出版社によって多少の独自ルールが存在します。
例えば、縦組みで「。」が行頭にくる場合、前の行の外(下)に「。」をはみ出して組版する場合と、その行の文字間隔を少しずつ詰めて行内に納める場合と二通りあります。また、縦組みで行頭に「「」がくると半角ぐらい空いたように見えます。これを嫌って上付きの「「」を用いる場合もあります。
読みやすさを追求した結果の禁則ルールなので、必要に応じてDTPソフトの設定を変えることもあります。