出版書籍の制作うら話(「出雲風土記鈔」)

出版書籍の制作うら話(「出雲風土記鈔」)

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このスタッフブログ「出版書籍の制作うら話」では、「ハーベスト出版」の出版物にまつわるエピソードや裏話、書籍の内容、さらに流通や販売などについてもご紹介をしています。

 

今回ご紹介するのは「影印 出雲風土記鈔」です。少々固い話になりますが、ハーベスト出版ではこのような書籍も制作しているということでお話しします。

出雲風土記鈔は江戸時代初期につくられました。出雲国風土記の全体について本文校訂や詳細な注釈をほどこした最初の注釈書として知られています。写本がいくつか存在しますが、本書で底本に使った古代出雲歴史博物館が所蔵する写本はその最も古いものだろうと言われています。著者は江戸時代の役人だった岸崎佐久次。風土記研究者にとっては大変な貴重書といえますが、写本のコピーでさえ閲覧する機会が少なく、影印本の制作が待たれていました。

本書には二人の研究者の解説が掲載されています。島根大学の大日方(おびなた)克己教授は「出雲風土記抄の成立とその成立」で、成立過程や記述の特徴、諸本などについて解説しています。島根県古代文化センターの岡宏三氏は、「書誌解題、塗抹・抹消部分一覧」などについて研究成果を詳しく掲載しています。また岡氏によると、本書は、岸崎の求めに応じて添削を行った松林寺宏雄の手元にあった本である可能性が高く、多数の添削の跡が確認できるなど、出雲風土記鈔の成立を考えるうえで非常に貴重な史料であること。岸崎の自筆本が新たに発見されるようなことがない限り、数ある伝本の中で最も基準となる風土記鈔であるとしています。

 

ここで影印本について少しお話します。

影印本(えいいんぼん)とは、底本となる原本をそのまま写真撮影して、オフセット方式などによって印刷した複製本のことです。底本は通常古い時代の貴重な書物・文書などで、原本の文字の形や絵柄をそのまま参照することができること、複製過程での誤植や書き換えの起こらない方法として主に研究者用の資料として使われています。

 

「影印 出雲風土記鈔」の仕様などは次の通りです。

本文は136ページ、モノクロ一部カラー。A4版・並製本。

本体カバー(マットPP)、見返し。

用紙は、表紙にマットTOマットN 125kg、カバーはニューVマット93.5kg、見返しはマーメードフロスティホワイト 76.5kg、グラビア ニューVマット62.5kg、本文にニューVマット62.5kgを使用しています。

 

タイトル:「影印 出雲風土記鈔」

¥1,650(税込)

島根県古代文化センター (編集)

A4判、129ページ、並製本

ISBN978-4864563734

 

販売は、全国の書店、アマゾンなどのネット書店、ハーベスト出版の書籍販売サイト(ベイス)。リアル書店での販売分には「売上カード(売上スリップ)」を挿入しています。