アート紙とはコート紙とはマットコート紙とは、上質紙とは
印刷用紙を大きく分けると次の二種類に分類できます。
塗工紙(用紙の表面に塗料が塗ってある):アート紙・コート紙・マットコート紙
非塗工紙(用紙の表面に塗料が塗ってない):上質紙
アート紙
アート紙は、光沢がありコート紙より表面の平滑度が高く、高級感がある用紙です。
上質紙の両面または片面に塗料を厚く塗布し、艶出しロールを押し付けて表面を滑らかにした用紙です。表面の塗工量はコート紙の約2倍程度あります。
光沢度が高いので印刷再現性に優れ、カラーが鮮やかに印刷できるという特長があります。このため写真印刷など仕上がりが重視されるものに多く使用されます。高級美術書・写真集・雑誌の表紙・ポスター・カレンダー・高級カタログなどに使われます。
用紙の価格は塗工紙のなかでは割高となります。
絵柄にベタ画像が多い場合はインキの乾燥に注意が必要です。PPなどの表面加工を行うこともおすすめです。
コート紙
コート紙とは、上質紙もしくは中質紙の表面にグロス系の塗料を20g/㎡程度塗布した用紙のことを指します。塗料を塗布する工程の後に、用紙を平滑にする工程である「スーパーカレンダ」処理を行うため光沢があり平滑度が高い用紙になります。
一般的には「コート紙」と言った場合はグロス系の「グロスコート」を指します。
塗料の厚さを若干抑えた紙に「軽量コート紙」があります。
上質コート紙は、美術書・雑誌の表紙・口絵ページ・ポスター・パンフレット・カタログ・カレンダーなどに使われます。
中質コート紙は、雑誌の本文ページやカラーページ・チラシなどに向いています。
軽量コート紙は、チラシ・通販カタログ・雑誌本文ページに使われます。
アート紙との違いは、塗料(コート剤)の塗布量の差にあり、より多くの塗料を塗布したアート紙のほうが光沢や平滑度が高くなります。 また、同じ斤量(重さ)のコート紙とアート紙を比較すると、コート紙のほうがベースとなる上質紙の割合が多く、湾曲させたときの反発力や剛性が高いため、「コシがある」と言われています。
マットコート紙
マットコート紙とは、上質紙もしくは中質紙の表面にマット系の塗料を塗布した用紙のことを指します。光沢が抑えられており、多少厚手に感じる用紙です。
塗料を塗布する工程の後の、用紙を平滑にする工程である「スーパーカレンダ」の処理をグロスコート紙より少なくするか、全く処理しないため、用紙の平滑度はグロスコート紙より低くなります。
用紙の光沢が抑えられているため、上品な感じと長時間見ていても目が疲れづらいという特徴があります。高級美術書・写真集・ポスター・カレンダー・カタログなどに使用されます。
マットコート紙は表面の平滑度が低いため、絵柄にベタの面積が多い場合は用紙同士が擦れてインキが落ちる(転移する)場合があります。印刷後のインキ乾燥に時間をおくか、PPなどの表面加工を行うこともおすすめです。
上質紙
上質紙とは、原料を化学パルプ100%で製造された用紙のことを指します。塗料は塗布されていないので表面に光沢や艶が少ない用紙です。汎用性に富み、印刷用紙として代表的な用紙です。
同じ斤量(重さ)のコート紙・マットコート紙に比べて塗料の塗布がないため、パルプの成分が多くなり、多少厚手になります。
コピー用紙(PPC用紙)は主に上質紙です。紙全体に色が入ったものは「色上質紙」と呼ばれています。
上質紙はコート紙やマットコート紙などと比べて、ペンなどで書きやすくインクが乾きやすいので筆記性に優れており、各種用紙・冊子の本文・広報誌・会報・カレンダー・コピー用紙・ハガキなど多用途に使用されます。
上質紙は、平滑度が低いためインキが沈んだ感じで印刷されます。高級カラーの印刷にはあまり適していません。主に単色印刷に使用されます。