冊子の基礎知識(その25:上製本について)

上製本について

本の中身を厚い別表紙でくるんで仕上げた製本の方法で、ハードカバーとも呼ばれます。

並製本は、表紙のくるみを行ってから化粧裁ちが行われるのに対して、上製本は中身を化粧裁ちし、表紙は表装がされた上で表紙付けがなされます。

背の綴じ方法としては糸綴じ、あじろ無線綴じがあります。背の様式は角背、丸背の二種類です。化粧のために外函(ケース)を付けることもあります。

高級感があり、長期間の保存にも耐える製本方法で、書籍・自分史・社史・絵本・記念誌・作品集などの製本に用いられます。

 

上製本の様式は以下の二種類

1. 丸背(みぞつき、突きつけ)

本の背に丸みをつけたもので、ホローバックが多く使用されます。

 

2. 角背(みぞつき、突きつけ)

背が平らに仕立ててあります。

 

上製本丸背溝付

上製本角背溝付

上製本丸背ホローバック

上製本角背の開いたところ


背の仕立ての方式は以下の三種類がありますが、ホローバックが多く使用されます

1. フレキシブルバック

2. タイトバック

3. ホローバック

フレキシブルバック

タイトバック

ホローバック


背のとじ方による分類

1. 糸綴じ

上製本で主に用いられる方式で、中身の背を糸でとじる方式。

 

2. 針金とじ

ノドの平らな部分を針金でとじる方式。

 

3. 無線とじ

中身の背の部分に切り込みを入れて接着剤を塗って背を接合させる方式。

 

外函について

書籍の中身の保護又は装飾のために函に入れることがあります。本のケースとも呼ばれます。

手作業で製函する手貼り函、機械で針金や接着剤などでとじる機械函、型抜きで製函する方法があります。

函の製造にあたって注意しなければいけないのは、製函後に乾燥で寸法が縮んで中身の本が抜けなくなったり、そりが出たりすることがたまにあります。材料選びから製函まで、技術と経験が要求される仕事です。

 

上製本各部の名称


花ぎれ

中身の背の上下の両端に貼り付けられる布のこと。本の強度を増すのと装飾の役割があります。花布とも書きます。

 

しおり

本の背の上部に貼り付けてある紐のことで、栞と装飾的な役割をします。スピンとも呼ばれます。

 

天(あたま)

小口の上の部分。

 

のど

小口の反対側のとじ側の部分。

 

カバーそでの部分

カバーの折り返しの部分。

 

カバー

本の表紙に巻き、書籍の保護と装飾的な役割があります。第4表紙側にはISBNコード、JANコード、定価、出版社名などが記載されます。

 

かど

小口側の表紙の角の部分。

 

本の外側に巻いたカバーのさらに外側に巻く。その本についての広報的な役割がある。

 

チリ

表紙の中身より出っ張った部分のこと。中身の保護の役割をします。

 

とびら

中身の各ページの最初にくる部分。本全体の最初の部分を本とびら、各章の初めに来る部分を中とびらということもあります。

 

小口

本の背以外の断面口のこと。小口は三方にあるが、ふつうは背の反対側の小口のことをいいます。上の小口を天、下の小口を地といいます。

 

見返し

表紙と中身の間に貼ってある紙のこと。表紙と中身の強度を増すために貼られています。一枚の紙を二つ折りにして4ページの状態で使用されます。表紙の裏側は糊で貼り付けてあり、本文側は遊び紙となっています。表紙側と裏表紙側と2か所に付いています。

 

地(けした)

小口の下の部分。