印刷の話(その13:高精細印刷)
高精細印刷について
オフセット印刷は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の4色のインキで4度の重ね刷りをしたものです。この4色の印刷用の版をPS版といいますが、画像の階調を細かな網点で表現しています。
PS版の一般的な網点のスクリーン線数は、150線~175線l/inchですが、高精細印刷とは、このスクリーン線数が300線以上で印刷されたものをいいます。とはいえ線数にはとくに定義がありませんので、300線に満たなくても標準の線数より多ければ高精細印刷とうたっている場合もあるようです。後述のFMスクリーンは新しく普及した技術で、線数という概念がありませんが高精細印刷の一種といえます。
高精細印刷の印刷物には以下のようなメリットがあります。
- 階調の再現が自然で、グラデーションが滑らかである
- 解像力が上がる
- モアレが少なくなる
- 色の再現領域が拡大する
高精細印刷を行うためには印刷条件を整える必要があります。
- 刷版にゴミが付着しないようにクリーンな環境で印刷する。
- 網点の管理、網点が太るドットゲインの量を管理する必要がある。
- 製版データにおいて、トーンカーブ、グレーバランス、シャープネス、カラーコレクションの条件設定、ハイライトとシャドウ部の網点管理。
- PS版の適正露光管理。
- 印刷機の条件として、冷却装置付きのインキ練ローラー、管理された胴仕立て。
- 高精細対応のインキを使用する。
- 適正な用紙を選択する。
FMスクリーン印刷について
一般的なカラー印刷に使われている網点スクリーンはAM (Amplitude Modulation:振幅変調) スクリーンといいます。FMスクリーンは、Frequency Modulation:周波数変調)スクリーンといいます。
AMスクリーンのように網点の規則性はなく、一定サイズ(8~10ミクロン)の微小なドットがランダムに配置され、その密度によって画像の濃淡を表現しています。
その特徴には次のような点が言われています。
- 網点同士が重なり合うことがないため、画質がよりシャープになる。
- モアレやトーンジャンプが起きにくい。
- なめらかで自然なグラデーションを表現できる。
- 細部の再現性が高まり、高い彩度と細やかな色の表現が可能になる。
- スクリーン角度が無いため、モアレや線切れが発生しにくい。
- AMスクリーンが苦手な、木目・貴金属・衣服の模様・縞模様・細い罫線などには有効です。
- インキの使用量が抑えられる。
*「冊子印刷オンラインショップ」では高精細印刷は承っておりません。別途ご相談ください。