冊子の基礎知識(その24:その他/PUR製本について)

PUR製本について

1. 無線綴じ製本とPUR製本

無線綴じとは、本文を丁合して一冊の本にまとめた背の部分を2~3㎜程度の幅でミーリングカットし、そのカットした部分にホットメルト型接着剤を塗布して表紙をくるむ方式の製本方法です。中綴じ製本とともに冊子の製本方法としては最もポピュラーな方式です。

PUR製本は無線綴じ製本の一種ですが、一般の無線綴じとは使用する接着剤が違っています。PURとは「ポリウレタン系接着剤」のことで、ホットメルト型接着剤に比べて、柔軟性・強度・環境対応などの優れた特性から最近注目を集めている製本方法です。

 

2. PUR製本の特徴

PUR製本には次のような特徴があります。

① 冊子が大きく開く

ホットメルトより少量の塗布量でも強度が十分にあり、柔軟性が高いので製本後にノドの元の部分まで大きく開くことができます。

② 耐熱性、耐寒性が高い

ホットメルト製本では、炎天下の自動車内や寒冷地などで放置したために本が劣化することがありました。これに対しては温度変化に強く、過熱溶解して硬化した後は強力な接着力を持っています。

③ 環境対応に優れている

PURは溶解温度が低いため、作業時の消費電力が少なくて済みます。塗布量も少なくて済むので省資源ということも言えます。また古紙に再生する際にも分離しやすくてリサイクルしやすいといわれています。

④ インキ溶剤での化学変化を起こしにくい

あまりないことかもしれませんが、ノドのあたりまで印刷がされている冊子の場合には、インキの溶剤と接着剤の化学変化によって劣化する恐れがあります。の場合にはそのようなことが起こりにくいといわれています。

 

これまで、冊子の耐久性や開きを考慮した場合には高価な糸かがり製本を選択することが多かったのですが、PUR製本ではコストや納期の点で優位となる場合があり、増えつつある製本方式となっています。

 

*PUR製本をご希望の方は別途ご相談ください。