小学生「読書ゼロ」が25年ぶりに1割超。という報道について

小学生「読書ゼロ」が25年ぶりに1割超。という報道について

学校図書館協議会が2026年6月に全国の小学生、中学生、高校生1万61人に対して学校読書調査を実施しました。その速報値が全国読書週間の初めの本日10月27日、一斉にメディアで報道されています。協議会からの正式発表は毎年12月ごろですので、今回のは一部速報値がメディアに対して通知されたものと思われます。

読売新聞オンラインによりますと、26年調査で小学生の不読率は5年連続で上昇し3.8ポイント増の13.4%、中学生は0.2ポイント減の24.0%、高校生は6.0ポイント減の49.7%だったそうです。25年ぶりに小学生の不読率が1割を超えたことがクローズアップされています。不読者とは、調査した5月1か月間に読んだ本がゼロの児童生徒を「不読者」と呼んでいます。

記事では、「暇な時間に本や漫画を読んでいた子どもが、今はスマートフォンで時間をつぶすようになった。」「活字離れは深刻だ。同じ本や漫画を読んで感想を言い合ったり、中高生にも読み聞かせをしたりするなど、読書を楽しく感じる機会を増やすことが大切だ」などの識者のコメントが記載されています。

データをもう少し詳しく見てみますと、そうかなあと思われることがあります。学校図書館協議会のホームページで過去31年分の不読者の推移表が掲載されていますが、それによると、1995年から2004年ごろまで不読率は徐々に下がっています。そこから2022年ごろまで横ばいが続き、ここ数年は若干上がり気味ですが上がったり下がったりという状態となっています。

日本でスマートフォンが本格的に普及し始めたのは2008年ごろです。

つまり、スマートフォンの普及以前から子どもの不読率は高く、むしろ普及し始めてからは横ばい状態が続いています。マスコミが見出しで大々的に読書離れを憂えているのにはこのデータからは少々違和感を覚えます。

「深刻な活字離れ」という言い方についてはどうでしょうか。デジタルデバイスで読む文字も活字であり、紙の本や世の中にあふれる文字の多さを考えると、むしろ活字を読む機会は増えているのではないでしょうか。

ただし、子どものころから読書に親しみ、紙であってもデジタルデバイスであっても、静かに良書を読む時間を持つことはその人の人格形成に大きく役立つことは間違いありません。実人生で得られない体験や思索の深さ、心の醸成や感受性の豊かさに役立つと思えるからです。

いわゆる読書離れを食い止めて、31年前に比べて不読率が下がっていることは、親や学校現場、国などの施策による効果が上がっているといってもいいかもしれません。

何よりも地域の書店や図書館、家庭内での蔵書など、身近にいつも本のある生活が私たちにとって大切であることは言うまでもありません。

なお先般、文科省から2030年以降の教科書は紙の教科書をメインとしてデジタル教科書も併用することが発表されました。デジタルの優れた面も認めながら紙の教科書を重視するという報道を見て大変喜ばしく思いました。(H.T)

 

<参考>

●公益社団法人全国学校図書館協議会/過去31年の学校読書調査結果の推移

https://www.j-sla.or.jp/material/research/dokusyotyousa.html

●読売新聞オンライン

https://news.yahoo.co.jp/articles/171989ba2ff871b0bc29fb6a8786104496910635