仮フランス装とはどんな装丁?(「カフェーの帰り道」より)

東京創元社さんの「カフェーの帰り道」(四六判仮フランス装・228ページ・嶋津輝/著)が第174回直木三十五賞を受賞しました。

(以下出版社の紹介分より)

上野の片隅にある、あまり流行(はや)っていない「カフェー西行」。食堂や喫茶も兼ねた近隣住民の憩いの場には、客をもてなす個性豊かな女給がいた。竹久夢二風の化粧で注目を集めるタイ子、小説修業が上手くいかず焦るセイ、嘘つきだが面倒見のいい美登里を、大胆な嘘で驚かせる年上の新米・園子。彼女たちは「西行」で朗らかに働き、それぞれの道を見つけて去って行ったが……。大正から昭和にかけ、女給として働いた“百年前のわたしたちの物語”。

報道によると、審査員の圧倒的な支持を得ての受賞だったそうです。著者の嶋津輝さん、版元の東京創元社さん、そして装丁の鈴木久美さん、その他デザイナー、DTP、印刷会社さん、製本会社さん、おめでとうございます。

受賞が発表されたとたんに、Amazonのランキングが上がって納品予定日が大幅に遅くなってしまいました。写真の本は書店で在庫していたもので、帯は「直木賞候補作」となっていました。今頃は受賞後の発売分を増刷のために、印刷・製本会社は大至急で作業中なんでしょうかね。

本書は「仮フランス装」という珍しい製本方式がとられています。上製本でもない並製本でもない、あまり耳にすることの少ない方式ですね。

どんな製本でしょうか。以下の写真でご紹介します。いちばん外側に「カバー」と「帯」があります。それをとってみると、茶色の「表紙」があり、その内側に赤っぽい「見返し」、薄茶色の「中表紙」、「目次」、「本文」と続きます。目次以下は本文と同じ用紙となっています。

特徴があるのは「表紙」で、本文よりやや大きいサイズで三方が内側に折り返してあります。本文の小口と地(けした)側は断裁で揃えてありますが、天側はアンカットになっています。上製本より表紙が曲げやすく、上製本の風合いも感じられるしゃれた製本方式です。表紙は本文よりやや大きくなっているところも写真でご覧ください。

(出版社サイト)東京創元社 https://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488029364