1冊も本を読まない中高生が再び増加傾向
本を読まない中高生が再び増加の傾向~学校読書調査より~
2025年6月に実施された学校読書調査が発表されました。公益社団法人全国学校図書館協議会のHPでは、小中高生の読書状況について1995年からの推移が公表されています。この調査では、5月1か月間に読んだ本が0冊の児童生徒を「不読者」と呼んでいます。今回はこの不読者について考えてみます。
「学校読書調査」の結果
2025年5月の1か月間における調査結果の主要な数値は以下の通りです。
|
学校区分 |
平均読書冊数 |
不読者(0冊)の割合 |
|---|---|---|
|
小学校(4〜6年) |
12.1冊 |
9.6% |
|
中学校 |
3.9冊 |
24.2% |
|
高校 |
1.4冊 |
55.7% |
前年の2024年度調査(第69回)と比較すると、小学生の平均冊数は13.8冊から12.1冊へと微減し、中学生・高校生においても不読率の上昇や冊数の停滞が見られます。
小学生は、高水準を維持しつつも「二極化」の懸念
小学生の平均読書冊数「12.1冊」は、1990年代初頭の調査(平均2〜3冊程度)と比較すれば、依然として非常に高い水準にあります。これは、全国の小学校で定着した「朝の読書」や、学校図書館の整備、司書教諭・学校司書の配置促進といった施策が実を結んでいる証拠です。
しかし、注目すべきは不読率の推移です。1割弱の児童が1冊も読んでいない一方で、平均が12冊を超えているということは、読む子は月に20〜30冊以上を読破しているという「読書量の二極化」が進んでいることを示唆しています。家庭状況の違いや、放課後の塾・習い事、そしてデジタルデバイスへの接触時間の差が、読書習慣の分断を生んでいる可能性があります。
中・高校生は、深刻化する「読書離れ」とタイパ主義
中学校・高校と進学するにつれて読書冊数が激減し、高校生では半数以上(55.7%)が月に1冊も本を読まないという現状は、教育現場における長年の課題です。
この背景には、「スマホ利用の長時間化」、「学習の忙しさ」、「タイパ(タイムパフォーマンス)意識」が考えられます。「タイパ」については、「結末を早く知りたい」、「無駄なく情報を得たい」という意識が強まり、長編の小説や難解な新書に腰を据えて取り組むことが敬遠される傾向が考えられ、特に高校生において顕著です。
デジタルとアナログの共存
2025年の調査で注目されたのは、GIGAスクール構想による一人一台端末の普及に伴う、「電子書籍」の活用状況です。
一部ではデジタルでの読書が進んでいますが、依然として「紙の本の方が読みやすい」と感じる生徒が多数派であるというデータもあります。情報の検索や「調べ学習」にはデジタルが、物語への没入や深い思考には紙が適しているというデバイスの使い分けが、子供たちの間で自発的に形成されつつある過渡期と言えるかもしれません。
読書推進の取り組み
今後の読書推進においては、単に冊数を追うのではなく、「どのような体験をしたかという質的な評価」や「ビブリオバトルや読書会のように、本を介して他者とつながるソーシャルな読書の場の提供」、「調べものや知識の深化に学校図書館を活用」、「バリアフリーの推進」など読書の質への転換が重要だと言われています。
高い不読率を何とかできないか
2025年の調査結果は、デジタルネイティブ世代の子供たちが「読書」という行為をどう考えるかを反映しています。中学生から高校生と上がるにつれて高くなっていく不読率の傾向が課題となります。「文学」作品が国語の教科書から除かれるという報道もありましたが、小学生の高い読書意欲をいかにして上の学校段階へ引き継いでいくか。社会全体で取り組むべき大きなテーマと言えるでしょう。(G.M.)
(参考)全国学校図書館協議会「第70回学校読書調査」(2025.6実施)
https://www.j-sla.or.jp/material/research/dokusyotyousa.htmlより