書店の経営に光?倒産が急減。
書店の倒産が過去最少
今月(2025.6.3)、帝国データバンクからプレスリリースされた『「書店」の倒産動向(2025年1-5月)』によると、書店の倒産が過去最少のペースで急減している。増益の書店も過去10年間で2番目の高さであり、脱書籍のビジネスが広がりをみせ、滞在型の売り場を目指す書店に活路が見える。
あくまで2025年1月から5月の調査結果であるものの、書店倒産は1件のみにとどまり、前年同期の11件を大きく下回った。2000年以降では過去最低のペースとなっている。ただ、「業績が赤字」と「減益」を合わせた業績悪化企業は58.3%なので依然として高い水準となってはいるが、一方で増益となる企業も多く4割の企業が増益と回答している。
業績悪化企業も6割
6割近い企業が業績悪化と回答しているので、書店経営が厳しいことには変わりがない。よく言われるように、「活字(書籍)離れ、インターネット書店の台頭、電子書籍の普及」といった原因のほかに、特別なビッグタイトルによる特需もなく雑誌や漫画本が売り上げの中心を占める書店にとっては厳しい経営環境が続いている。
滞在型の書店を目指す
一方で、書店を単なる本の販売店ではなく、交流拠点や休憩施設として来店を促す目的地化を目指す動きが広がるなど、売り上げを書籍のみに頼らないビジネスモデルへの転換が進んでいる。ボールペンやノートなどの雑貨コーナーを大々的に展開したり、カフェの設置など「滞在型」の売り場づくりを目指す動きが広がってきた。
国も支援
国も経済産業省に書店振興のためのプロジェクトチームを立ち上げて支援する姿勢を鮮明にしている。地方の経済産業局単位でもきめ細かく地元の意見を聞く会が頻繁に開かれている。政府の骨太の方針にも出版業や書籍小売業への支援が明記された。
書店への来訪者が増えて、書店の経営がこのまま上昇傾向をしめすのか、書籍の販売が回復するのか今後の成り行きに注目していきたい。
(出典)帝国データバンク:
https://www.tdb.co.jp/resource/files/assets/d4b8e8ee91d1489c9a2abd23a4bb5219/44417cdf9b754cc79d20ed6e0a30fb9f/20250603_%E3%80%8C%E6%9B%B8%E5%BA%97%E3%80%8D%E5%80%92%E7%94%A3%E5%8B%95%E5%90%91%E8%AA%BF%E6%9F%BB%EF%BC%882025%E5%B9%B41-5%E6%9C%88%EF%BC%89.pdf