本を読まない人は6割

「国語に関する世論調査」令和5年度版が発表されました。令和6年1月から3月に文化庁が行った調査を集計したものです。

この報告書の「Ⅲ 読書と文字・活字による情報に関する意識」によると、「紙の本を読む機会が減少」「書店で本を選ぶことの減少」「若年層の本を読む時間が減少」「電子書籍の利用が増加」「文字・活字による情報に触れる機会はそれほど変わらず、または多少増加」といった傾向がみられます。またこれらの傾向は、若年層が顕著になっています。

まず、「質問:文字・活字による情報に触れる機会」では、「減っている26.0%」に比べて「それほど変わっていない37.3%」、「増えている35.3%」ですから、紙の本も含めて、電子書籍やスマホなどの情報機器で様々な文字や活字による情報に触れる機会は増えているといってもいいかも知れません。

「質問:一か月に読む本の冊数」では、「読まない62.6%」です。調査方法の違いがあるようですが、過去の調査結果では「読まない」が4割台後半であったことを考えると明らかに減少傾向が大きいです。ここで「本」とは電子書籍も含んだ本ですから、紙の本に限って言えば減少傾向はもっと顕著になるかも知れません。

「質問:読む本の選び方」では、「書店で実際に手に取って選ぶ57.9%」、「インターネットの情報を利用して選ぶ33.4%」となっており、筆者の感覚では書店で選ぶ人が意外に多いと感じました。しかしよく考えてみると、書店で選ぶ人以外の多くはインターネットで選ぶか図書館で選んでおり、本を購入する人の多くが書店以外から情報を得て書店以外で購入しているという実態がうかがえます。

これらの傾向が若年層に顕著であることを考えると、今後も同様の流れが続くことは間違いないでしょう。しかしながら、紙の本のよさ、紙の本で読書することの楽しさは筆者にとっては至上であり、至福の時間を過ごすことのできる媒体であることには間違いありません。

 

<参考>

「国語に関する世論調査」令和5年度版結果の概要

「国語に関する世論調査」令和5年度版報告書