用紙のシーズニングについて
用紙のシーズニングについて
紙は植物繊維からできているため水分に非常に敏感です。周囲の温度や湿度が変化することで、紙の内部にある水分を吸収したり放出したりして、伸び縮みが発生します。一般的には温度よりも湿度の影響を大きく受けますから、湿度の影響を受けにくいような対策と保護、そして保管される環境の湿度管理が重要となります。紙のメーカーは、このような性質を考慮して製造したうえで、出荷する時には吸放湿しないように防湿包装して出荷されます。
国内では、冬は乾燥期となり湿度が低く、逆に夏の梅雨時期は高くなります。 地域にもよりますが年間では湿度が大きく動きます。印刷会社が、入荷した用紙を保管する紙倉庫と印刷室とで温度・湿度が大幅に異なると紙の伸び縮みが発生します。積み上げた用紙が波打ち状態となったり、おちょこと呼ばれる紙の隅がせりあがった状態になったりします。そうすると印刷機上でのトラブルが増え、紙がスムーズに給排紙されなかったり、印刷の位置がずれたり、しわの原因になったりします。
用紙は印刷室の環境に合わせることで、水分が平衡状態に近くなり伸び縮みは安定してきます。用紙を印刷室に一定時間置いておき、周囲の温度や湿度に合わせることをシーズニングといいます。一般的には半日ないし1日程度置いておきます。
現在の印刷会社の紙倉庫や印刷室は、空調設備、加湿器、2重扉などが設備してあることが多く、空調や加湿器を24時間稼働させたり、印刷直前まで防湿包装紙(ワンプ)やラップに包んで保管してトラブルを予防しています。
昔の劣悪な労働環境での印刷作業は、用紙の湿度や静電気によるトラブルがよく起こったものでした。とくに梅雨時の湿気の多い頃、冬の乾燥時期は要注意となります。