印刷の話(その17:印刷方式の5つの種類~オフセット以外にもいろいろある印刷~)

印刷方式の5つの種類~オフセット以外にもいろいろある印刷~

代表的な印刷の方式は以下の5種類です。インキ等で文字や画像を被印刷物に転写する際に、その版の方式によって分類されています。

  1. 平版印刷
  2. 凹版印刷
  3. 凸版印刷
  4. 孔版印刷
  5. 無版印刷

 

1.平版印刷

代表的な版式がオフセット印刷で、一般に平版印刷といえばオフセット印刷のことを指します。現在はほとんど使われませんが石版印刷もオフセット印刷です。

オフセット印刷は、表面に凸凹のない平らな版を使用します(PS版)。レーザーなどで版面を加工して、親油性の部分(画線部)と親水性(非画線部)の部分を作ります。

次の手順で紙に印刷します。

①版全体に水をつける。

②版にインキをつける。

③版からブランケット胴に画線部が転写される。

④ブランケット胴から紙に印刷される。

 

版全体に水がついているため、油性のインキは親水性の非画線部は弾かれます。親油性の画線部のみにインキが付着します。

③で一度インキを転写してから④で再び紙に転写されるため、オフセット印刷と呼ばれています。

インキの着肉量は、約4ミクロンといわれています。

画線部が鮮明なのが特徴で、主な用途としては、新聞・ポスター・カレンダー・ちらし・書籍・金属印刷(ジュース、ビール缶、化粧品)などに使われます。

 

 

2.凹版印刷

この方式にはグラビア印刷があります。版に凹凸があり、凹んでいる部分にインクが付着し、凹んでいない部分にはインキをつけないことで被印刷物に転写します。

次の手順で印刷します。

①凹版にインキを入れる。

②余分なインキを取り除く。

③被印刷物に押し付けて転写する。

 

②の余分なインキを取り除くにはドクターという装置を使います。凹版は、凹部分の溝の深さのインキ量によって色の濃淡を表現します。

インキの着肉量は、約25ミクロンといわれます。

大量印刷に向いています。主たる用途としては、プラスチックフィルム・軟包装材料・建材・写真集・美術書・彩文彫刻・紙幣・証券類・切手・パッケージ・建材などで使われます。

 

3.凸版印刷

この方式は活版印刷フレキソ印刷が代表的です。凸版印刷は、版の凸部分にインキをつけて被印刷物に転写します。活版印刷では活字を組んだ版面の凸部分にインキを付けます。フレキソ印刷で使用する樹脂版や、木版などもこの一種です。

次の手順で印刷します。

①凸部分にインキをつける。

②被印刷物に凸部分を押し付けて転写する。

 

インキ着肉量は約8ミクロンといわれています。

活版印刷は今ではほとんど使われなくなりましたが、被印刷物に押し付けて転写するために力強い文字が特徴で、名刺や書籍などで人気があり一部では使われています。フレキソ印刷では段ボールや紙袋で使用されます。

 

4.孔版印刷

この方式はスクリーン印刷謄写版印刷があります。穴の開いたスクリーンを版として、インキを画線部の小穴から押し出すことで印刷ができます。

次の手順で印刷します。

①版を枠にセットする。

②版の下に被印刷物を置く。

③インキを版に付着させて伸ばす。

④穴からインキが出て転写する。

 

インキ着肉量は約30ミクロンといわれています。

スクリーン印刷は、何にでも印刷ができ少量印刷にも対応できるのが特徴で、インキの量を増やすことで印刷物の立体表現も可能になります。

用途としては、ステッカー・計器板・プリント配線・キーボード・プラスチック容器・ガラス容器・交通標識・ビニール製品などに使われます。

 

5.無版印刷

版を使用しない印刷方式です。印刷用データを直接プリンタで印刷します。プリンタは印刷用インキの代わりにトナーを使用する電子写真方式、プリントヘッドからインキを噴出させて印字するインクジェット方式が代表的です。プリントオンデマンド(POD)などと呼ばれます。

版を使用しないことで同じものを大量に刷る伝統的な印刷方式とは違う使われ方をされています。極小ロットやバリアブル印刷はこの方式でないと実現しません。