印刷の話(その16:ユニバーサルデザインについて)

ユニバーサルデザインについて

今世紀に入る少し前あたりから、『ユニバーサルデザイン』という言葉が聞かれるようになりました。要するに「誰にでも使いやすいデザイン」ということでしょうか。

「誰にでも」というのは、「国籍・年齢・性別・個人の能力などにかかわらず」ということです。何の「デザイン」かというと、「製品・建築物・構築物・情報などのデザイン」で、印刷物も含みます。

 

言い換えると、印刷物の場合なら「年齢や性別、障害の有無にかかわらずどんな人でも公平に、使いやすい、わかりやすいデザインの印刷物」ということですね。

 

印刷物で『ユニバーサルデザイン』というと、「文字フォント」「色」が重要な要件となります。

 

「文字フォント」のユニバーサルデザイン

「文字フォント」では、“モリサワ”、“イワタ”などのフォントメーカーが「ユニバーサルデザインフォント」を発売しています。高齢者でも、あるいは遠くからでも暗い場所でも識別しやすいフォントデザインとなっています。

例えば(株)モリサワのUD書体のホームページ(https://www.morisawa.co.jp/fonts/udfont/)を見ると、“モリサワUD書体は、「文字のかたちがわかりやすいこと」「文章が読みやすいこと」「読み間違えにくいこと」をコンセプトに開発されました。”とあります(次図は同ホームページから転載)。

モリサワUD書体のラインナップはこちら。

「色」のユニバーサルデザイン

「色」の場合は、『カラーユニバーサルデザイン』といいます。DICグラフィックス(株)のホームページ(https://www.dic-graphics.co.jp/navi/color/ud.html)では、“色覚の多様性に配慮して、より多くの人に利用しやすい製品や環境、サービス、情報を提供するという考え方”と説明しています。

人によっては一部の色の組み合わせが区別しにくく不便さを感じるケースがあります。鉄道の路線案内図や災害時の気象情報の表示など、公共性が高く安全性に関わる分野を中心に、見分けやすい配色やデザインの配慮がなされることが必要です。

 

ユニバーサルデザインの普及・教育

NPO法人メディア・ユニバーサル・デザイン協会では、MUD教育検定やメディア・ユニバーサルデザインコンペティションを行って、ユニバーサルデザイン製品の普及や教育活動を行っています。

 

*弊社では、(株)モリサワのUD書体を保有して、デザインやDTPに関わるほとんどの社員がこの講習を受け、資格を取得しています。